◆在留資格申請の流れ

【解 説】

1.「在留資格認定証明書」の交付申請
 外国人(申請人)を招聘する申請代理人(通常は雇用する会社の代表者や人事担当責任者)が管轄の地方入国管理局に申請します。

★在留資格認定証明書交付申請の際に立証資料として添付する文書は、公的機関発行の文書については有効期限にご注意ください。

【海外で発行された文書】 ・・・・・外国語の文書は日本語訳文を添付します。
発行後6か月以内  例)出生証明書、婚姻証明書、海外の大学の卒業証明書

【日本国内で発行された文書】
発行後3か月以内  例)戸籍謄本、日本国内の大学の卒業証明書・成績証明書

★履歴書を添付する場合、過去に日本で在留歴のある方は、年月日の記載に細心の注意を払ってください。審査の際に、過去の入国管理局へ提出した資料と、過去に提出した資料との整合性に齟齬があると、不許可となってしまう可能性があります。
うろ覚えの年月日を軽い気持ちで記載することは厳に慎むべきです。

★ 雇用契約書または採用通知書の記載は次の点を漏れなく記載することが必要です。
(1)職務内容(2)雇用契約の期間(3)報酬額

〈ポイント〉
(1) 職務内容
    申請する在留資格の活動内容に合ったものであること
(2) 雇用契約
   「本契約は日本政府による在留許可がなされない場合は発効しない」(停止条件といいます)旨
    記載しておくと、招聘する外国人とのトラブルの防止になります。
(3) 報酬額
    同レベルの技術、能力の日本人従業員と同等以上の額であること

2.入国管理局での審査
 申請人が日本で行う活動について、事前に申請された在留資格に適合する活動か否かの審査を受けます(標準処理期間として30日とされていますが、個別の案件によって審査に要する期間はさまざまです。おおむね1か月から3か月程度)。

3.審査結果の通知
 審査の結果、上陸条件に適合すると認められると「在留資格認定証明書」が交付され、申請人の代理人宛に簡易書留で送付されます。

4.「在留資格認定証明書」を本国で待つ申請人へ送付
 「在留資格認定証明書」を受け取った申請人は必要書類と共に現地日本大使館・総領事館に査証申請を行って査証(ビザ)の発給を受けます。
「在留資格認定証明書」は日本国内では効力がなく、現地の日本大使館・総領事館に提出することで効力が生じます。
「在留資格認定証明書」の本国の申請人への送付は、DHLやEMSといった安全・確実な方法で送付しましょう。
「在留資格認定証明書」の有効期間は3か月です。

5.入国
 上陸許可を受けて在留資格・在留期間が正式に決定されます。
「在留資格認定証明書」は入国の際に上陸港の審査場で回収されます。

6.不許可の場合の対処
 何らかの理由で不交付処分を受けた場合、そのまま諦めないで下さい。
不許可の理由はどこにあったのか、不備な書類や説明不足の点がなかったか、修復可能な瑕疵であれば、それは何であるのかを把握して再申請の可能性を探りましょう。
「ビザ(査証)」という用語は、よく「在留資格」と混同されて使われますが、入管法(出入国管理及び難民認定法)では、ビザ(査証)は上陸許可の要件とされており、例えば成田空港で入国審査を終え、パスポートに「上陸許可証印」が押された時点でビザ(査証)は数次有効のものを除いて使用済みとなり、「上陸許可印」に記載されている在留資格、在留期間が日本で活動する根拠になります。

  • 当事務所では、「在留資格認定証明書」の交付申請手続きの代行を行っています。
    再申請の案件でもご相談に乗ります。そのためにも不交付理由の確認や申請書類の写しの保管は大切です。
    お気軽にご相談ください。

◆不法就労雇用のリスク

 日本に在留する外国人の活動内容は、出入国管理及び難民認定法(いわゆる入管法)により27種類の「在留資格」に適合した日本国内での活動内容が定められています。
それぞれの在留資格の類型は、入管法別表第1および別表第2において「本邦において行うことができる活動」として定められています。
いずれの在留資格にも該当しない、あるいは在留資格が付与されていたが、更新をしていない人たちが、無資格就労や資格外活動など「不法就労者」とされます。
就労可能な在留資格を持っている外国人であっても、資格外の活動を行って収入を伴う活動を行ったり、「資格外活動許可」を受けずに収入を伴う活動を行ったりする場合も、「不法就労」に該当しますので、注意が必要です。
 就労可能な在留資格を持たない外国人が就労をした場合、当該外国人本人は退去強制、罰則の対象となるのはもちろん、不法就労外国人を雇用した事業主も不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われ、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金という大きな代償を被ることになります。

  • したがって、外国人労働者を雇い入れる際は、在留資格が上記のような就労可能な資格であるのか、求めている職種に合ったものであるか、在留期間は超えていないかなどを確認したうえで採用しなければなりません。 また、在留資格を有しているとはいえ、その在留資格で本当に御社での就労が可能なのか(在留資格該当性があるのか否か)判断に迷う場合も多いと思います。
    そのような場合は、入管法に精通した入国管理局の届出済行政書士である当事務所へご相談ください。

◆外国人登録証明書

 外国人が日本に90日以上滞在する場合、居住地の市区町村に外国人登録を行う必要があります。登録後は「外国人登録証明書」が発行され、16歳以上の外国人は常時携帯が義務付けられています。
居住地の変更、在留資格の変更や在留期間の更新をした場合は、裏面にその旨が記載されますので、外国人登録証明書の確認は、裏面にも注意しましょう。
外国人登録証明書は、不法就労外国人にも交付されます(「在留資格なし」と表示されます)ので、とくに「在留資格」「在留期間」「在留期限」の確認は怠らないようにしましょう。
「在留資格」については、就労が可能な資格か否かの確認が大切です。

◆就労資格証明書

 外国人を雇用する企業にとっては、パスポートや外国人登録証明書によって、雇用しようとする外国人が、就労できる外国人か、従事する職種での就労ができるか否かを判断することは、なかなか難しいものです。 そこで、外国人本人または代理人からの申請により、入管当局からその外国人が行うことができる就労活動の内容を証明する文書の交付を受けることができます。これを「就労資格証明書」といいます。 ただし、本人の希望に基づいて交付される文書ですので、就労する外国人は必ず就労資格証明書を所持していなければならないものではありません。したがって、これを提出しないことを理由として不利益な取扱いをすることは禁じられています。 とくに同じ在留資格(例えば「技術」)で在留期間が有効であっても、転職先での就労内容が在留資格「技術」に該当し得るのか否か、その時点では入管当局は把握していません。

  • そのまま就労を続けて、在留期間更新時に「在留資格該当性なし」と判断されて更新不許可となり、それまでの就労活動が資格外活動であった、などという憂き目に遭わないためにも、在留期間に余裕のある時点での転職(おおむね在留期限まで6か月以上あるような場合)であれば、転職時にすみやかに「就労資格証明書」を入管に発行してもらうと、そうしたリスクを回避できるうえ、その後の更新もスムーズです。 当事務所では、「就労資格証明書」の申請手続きの代行を行っています。
    お気軽にご相談ください。

◆資格外活動許可

 外国人が、認められた在留資格による活動のほかに、収入を伴う活動を行う場合に、「資格外活動許可書」の交付を受ける必要があります。 例えば、「留学」の在留資格を持つ大学生や、「家族滞在」の在留資格を持つ駐在員の家族がアルバイトを行うことができるのは、この「資格外活動」の許可に基づくものだからです。本来の活動に支障をきたしてしまっては、本末転倒ですから、下表の範囲内で「資格外活動許可書」が発行されます。資格外活動の許可を受けずにアルバイトに従事した場合は、「資格外活動」となり不法就労となりますので、注意が必要です。


当事務所では、「資格外許可」の申請手続きの代行を行っています。
お気軽にご相談ください。

◆在留資格変更(留学生を採用して卒業後に入社させる場合)

 留学生が卒業後日本の企業へ就職できるか否かは、すなわち「留学」の在留資格から就労の在留資格(一般的には「人文知識・国際業務」「技術」がほとんどです)への在留資格該当性&上陸許可基準該当性の有無が問われるということです。 就職先での職務内容と大学や専修学校での専攻内容に関連性があるか(一貫性があるか否か)が審査の重要なポイントになります。 例えば、大学でコンピュータ関係の勉強をした留学生が、コンピュータ会社でソフト開発に従事するような場合は専攻内容と職務内容に関連性が認められますので在留資格の変更が認められる可能性が高いですが、小売業で販売業務に従事するというのであれば、専攻内容との関連性が認められないので、在留資格の変更は認められないということになります。 大学卒業者を採用する場合、理工系出身者の場合は「技術」の在留資格、文科系出身者 の場合は「人文知識・国際業務」に該当するのが一般的です。専修学校の専門課程修了し、「専門士」の称号を取得した場合は、従事する業務内容が次の「技術」又は「人文知識・国際業務」のいずれかに該当し、就職先の職務内容と専修学校での専攻内容に関連性が認められれば、下記の許可基準2の@にかかわらず、在留資格の変更が許可されます。 ただし、「専門士」の場合は、日本国内在留中に在留資格変更を行う場合のみに適用されますので、卒業後いったん帰国してしまうと、在留資格認定証明書による呼び寄せができないので、注意が必要です。

【活動内容と許可基準】

「技術」

1.活動内容
    理学、工学その他の自然科学の分野に関する知識を必要とする業務
    例えば:SE、技術開発、設計、品質管理
2. 許可基準
   @ 従事する業務に必要な技術や知識にかかる科目を専攻して大学・短期大学・大学院・高等専門
    学校を卒業していること、又は10年以上の実務経験があること
   A 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
   B 就職先の企業等の事業が適正に行われ、安定性及び継続性が認められること

「人文知識・国際業務」

1. 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務
   例えば:通訳、翻訳、語学の指導、広報、宣伝、貿易業務、デザイン
2. 許可基準
   @ 3年以上の実務経験があること。ただし、大学・短期大学・大学院を卒業した者が通訳、翻
    訳、語学の指導をする場合は経験不要
   A 、Bは「技術」と同じ

  • 当事務所では、「在留資格変更許可」の申請手続きの代行を行っています。
    お気軽にご相談ください。

◆永住許可

 永住資格の取得は、在留資格変更ではなく、法務大臣が適当と認めるに足る相当の理由がある場合に許可するとされているため、「永住許可申請」という特別の申請方法がとられています。 永住許可の要件は次の通りです。 1.素行が善良であること(素行要件) 2.独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること(独立生計要件) 3.その者の永住が日本国に利益に合致すると認められること(国益要件) 就労資格からの永住申請の場合、おおむね10年以上引き続き日本に在留していることが、審査基準のひとつとなっています。 ただし、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ日本人の夫または妻の場合は、1及び2のは不要で、婚姻の実態を伴った3年以上の婚姻暦があれば永住許可申請をすることができます。 永住許可を受けると、次のようなメリットがあげられます。 1.在留期間の制限がなくなります。ただし、「帰化」と違い、日本国籍になるわけではありませんので、外国人登録や再入国許可は必要です。 2.日本での活動内容に制限がなくなり、転職も自由にできるようになりますので、不法就労を問われることがなくなります。 3.日本に生活基盤があることの証明となりますので、住宅ローンを受けることができるなど、社会生活上の信用を得ることができます。 

  • 当事務所では、永住許可の申請手続きの代行を行っています。
    お気軽にご相談ください。